冷えの改善

冷えの改善

寒くなるこの季節、『冷え』でお悩みの方は多くいらっしゃることと思います。「体温を測ってみても特別低いわけではないけれど、何となく体が冷たい」これが『冷え』の状態です。手足が冷たい、寝る時に寒くて靴下が欠かせない、肩凝りになりやすい、お腹が冷たいなどが典型的な症状です。冷え性は女性に多いですが、冷えを自覚していない『隠れ冷え性』の人や、最近では男性にも冷え性の人が増えているようです。

冷え性とは

冷え性は血行不良が原因で起こる症状です。血行不良の原因は様々考えられますが、温かい血液が毛細血管まで行き渡らないため手先や足先に冷えとして感じます。

冷え性がなぜ女性に多いのかというと、女性ホルモンによる影響や、筋肉量が少なく脂肪が多いという身体的特徴によるもののほか、薄着や締めつけといったファッションも影響しています。女性は周期的に女性ホルモンが複雑に変化するため、自律神経がバランスを崩しやすく、特に卵胞ホルモンの分泌が盛んな月経開始から排卵期までの低温期は冷えも悪化する傾向にあります。また、男性に比べて熱を作り出す筋肉量が少ない上、脂肪には冷えやすくいったん冷えると温まりにくいという特徴があり、どうしても体が冷えやすい状況にあるのです。

男性の冷え

男性の冷えは運動不足による筋力の低下や、ストレスによる自律神経の乱れが原因になっていることが多く、不規則な生活や食生活の乱れなども重なっている場合が多いようです。

お風呂に入って冷えの改善!

冷え性改善には、身体の外側からと内側からの両方の温めが効果的です。

外側から温めるにはお風呂がおすすめです。シャワーだけで済ませてしまっては身体を温めることはできません。しかし熱すぎるお湯では交感神経を刺激し血管を収縮させるので身体の表面しか温まりません。副交感神経を刺激し、血管を広げて血行が良くなるぬるめのお湯に20~30分ゆっくり入るようにしましょう。

温め効果のある入浴剤を使うとさらにリラックス感も得られます。より温浴効果が高まる入浴剤には、肌に浸透して血行を良くする炭酸ガスの入ったものや、身体を温める生薬成分であるセンキュウ配合のものがあります。また、みかんなどの皮にも、身体を温める効果があるので代用できます。かんきつ類の皮を使う場合には、よく乾燥させてからお風呂に入れてください。

お風呂から上がったあとは、すぐに靴下を履くなど温まった身体を冷やさないようにしてくださいね。

各部位の冷えの改善!

首・手首・足首といった“首”のつく部位を温めると全身がぽかぽか温まります。この3か所は皮膚が薄く冷えやすい部分です。

首には心臓から脳へつながる大事な太い血管があります。首を温めることで、この血管を通る血液が温められ、冷えからくる肩凝りや頭痛にも効果があります。

手首・足首は太い血管から細い毛細血管へ変わるところですので、ここを温める事で手足の先まで温まった血液が行き渡ります。また足先の冷えには、保温性のある靴下やタイツを利用するのも良いでしょう。しかし引き締め効果の強い靴下やタイツは、血液の流れを悪くし、さらに冷えを悪化させる原因となるので避けましょう。

お腹をあたためて冷えの改善!

最近、手足は冷えていないけれど、内臓が冷えているという『隠れ冷え症』の人が増えています。本来37~38度あるべき内臓の温度が35度台と低くなっている状態です。内臓の血流が悪いぶん体の表面に血流が集中するので、手足は温かくそのため冷えに気がつきません。知らないうちに内臓の不調を悪化させて胃腸の調子をくずしたり、疲れやすい、免疫力が落ちるといった様々な不調が生じてきます。

『隠れ冷え症』の人は、お腹を効果的に温めましょう。カイロや湯たんぽを下腹部にあてることで副交感神経を刺激し、内臓を温める事が出来ます。ただしお腹は低温やけどを起こしやすいので十分注意をしてください。また腹巻も効果的です。最近では様々な腹巻きが出ていますので、お気に入りのデザインを選ぶのも楽しいですね。

身体の内側から冷えの改善!

内側から身体を温めるには、飲食について考える必要があります。私たちは食べ物から熱やエネルギーを産生し、体温を維持していますのでしっかり食事を摂ることはとても大切です。そして食事を効率よくエネルギーに変えるには亜鉛やセレン、鉄、マグネシウムなどのミネラルやビタミンの存在が欠かせません。

ビタミンCには鉄の吸収を良くし、毛細血管の機能を保つという働きがあり、ビタミンEには血行を良くする働きがあります。これらのミネラルやビタミンは体内で食べ物からエネルギーを産生する促進剤のような働きをします。インスタント食品やレトルト食品ばかりの食事では脂肪や塩分、糖分などは過剰になりますが、ビタミンやミネラルは不足しがちです。ミネラルやビタミンがなかなか摂れない場合にはサプリメントの活用も便利です。 また、食事制限によるダイエットでは熱のもととなる栄養素が不足してしまいますので、過度な食事制限は控えましょう。

食べ物で冷えの改善!

食べ物には身体を冷やすものと温めるものがあります。冷え性の人は冷たいものはなるべく摂らないようにすることと同時に、身体の内部から温める作用のある食材を摂ることも効果的です。

寒い季節に旬をむかえるものや、寒い地方で採れるものには身体を温める効果のあるものが多く、代表的なものにショウガやにんにく、ねぎ、ごぼうなどがあります。ショウガの辛み成分ジンゲロール・ショウガオール・ジンゲロンには血行を促進する作用や体を温める働きがあります。ほうじ茶や紅茶にも身体を温める効果がありますので、すりおろしたショウガを加えて飲むと効果倍増です。手軽なインスタントタイプのショウガ湯もおすすめです。

またトウガラシ成分のカプサイシンには血流を良くして体温を上昇させる働きがあります。高い発汗作用もありますので、この季節にはキムチやチゲ鍋を食べると良いですね。

トマトやきゅうりなどの夏野菜や生野菜は水分が多く身体を冷やす作用がありますので、炒めたり蒸すなど熱を加えて食べると良いでしょう。またタバコは急激に血管を収縮させ血流を悪くしますので冷え性の人には大敵です。

漢方薬について

冷えには漢方薬がとても向いています。その成分である生薬の一部をご紹介しましょう。

血流を良くし、身体を温める作用の大きいショウガは、漢方では生姜(しょうきょう)と呼び、代謝を上げる効果もあります。香辛料として用いられる「シナモン」は桂皮(けいひ)と呼び、桂の樹皮で独特の香りと甘辛い味を持ちます。身体の冷えを取り除き血液の循環を良くする効果があります。また胃腸の働きを助ける作用もありますので、食欲不振や胃のもたれなどにも効果があります。香辛料の「クローブ」も生薬では丁子(ちょうじ)といい、身体を温め血行を促進する効果と胃液の分泌を高め消化機能を良くする働きもあります。地黄(じおう)はアカヤジオウという植物の根です。血行促進作用や血行改善の他、ホルモン分泌を整える作用があります。芍薬(しゃくやく)は美しく大きな花を咲かせる芍薬の根です。芍薬には血流を促進する作用があるため、生理痛や月経不順等の婦人科系の疾患に用いられることの多い生薬です。痛みを和らげたり、緊張を緩和する効果もあるので、肩凝りなどにも用いられます。附子(ぶし)はトリカブトの根です。水分の代謝を高め、水分の偏りをなくすことで手足の冷えを改善します。トリカブトというと猛毒のイメージがありますが、古くから漢方薬として広く使われており、薬には適正な量が入っていますので安心して使用できます。

冷えのタイプ別漢方の選び方

この生薬を様々な組合せで配合している薬が漢方薬です。同じ冷えでも体質や症状によって選ぶ薬が異なります。

顔色は比較的良く、がっちりして、声に力があり、脈や腹の緊張がよいタイプの人は血液がうっ滯するため、手足に血流が巡らず冷えてきますので、血の巡りを良くする桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)や温経湯(うんけいとう)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)を選びます。顔色不良で、痩せ形で、力乏しく、いつも横になっていたいタイプの人はエネルギー不足によって熱の産生が低下して体全体が冷えていますので、熱や血を作る働きを補い身体を温める八味地黄丸(はちみじおうがん)や人参湯(にんじんとう)を選ぶと良いでしょう。

むくみなど身体の水分量が多い場合には、水分の多い部分に冷えが出ますので当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)や桂枝加苓朮附湯(けいしかりょうじゅつぶとう)で水分代謝を良くします。

漢方薬は食前や食間の服用で吸収が良くなり、より効果が期待できます。冷えで飲む場合には粉薬はそのまま飲むよりも、お湯で溶かして香りとともにゆっくり飲むと、ぽかぽかと温まってきます。

解熱・鎮痛・消炎のおくすりの話 その1

解熱・鎮痛・消炎のおくすりの話 その1

自宅のくすり箱の中に解熱薬や湿布薬が入っている人は多いでしょう。我慢できない痛みや急な発熱に備えて、一つ常備してあると安心ですよね。今回は身近な薬のひとつである解熱・消炎・鎮痛の薬についてお話します。

痛みについて

ところで、痛みって?

日常私たちが感じる「痛み」には、手を切った時や足を打った時などに感じる痛み、頭痛、歯痛、腹痛などさまざまな「痛み」があります。これらの痛みの主な原因は『プロスタグランジン』という物質の産生です。
プロスタグランジンは体の中の様々な生理機能を調節する物質の一種で、血圧の調整や胃腸機能の調整、分娩誘発など様々な働きをしています。例えば、手を切った時にはその傷ついた部位でシクロオキシゲナーゼという酵素の働きによってプロスタグランジンが作られます。ここで作られたプロスタグランジンはそこから侵入した病原体などが全身へ拡大しないように炎症反応を起こす作用があり、それによって痛み、熱、腫れなどの症状を引き起こします。痛みは電気信号に変わり、知覚神経という神経を通って脳に伝わります。そして脳で痛みとして認識され「痛い」という感覚が生じます。プロスタグランジンには痛みを感じやすくする働きもあります。他にも、月経時には不要となった子宮内膜を押し出すためにプロスタグランジンが働き、子宮の筋肉を収縮させます。これによって月経痛が起こります。

発熱について

ところで、発熱って?

人間の体温は脳の視床下部というところにある体温調節中枢によって維持・調節されています。日常みられる発熱の主な原因はウイルスや細菌などの感染です。これらに感染すると体の免疫システムが作動し『プロスタグランジン』が産生されます。このプロスタグランジンが体温調節中枢に影響を及ぼし、体温の設定を高めにセットするため体温が上昇します。この発熱は熱に弱いウイルスや細菌の増殖を抑え、それに打ち勝つために白血球の働きを高める体の防御反応の一つです。そのため安易に熱を下げることは良くありません。まずは安静にして、熱を逃がすこと、水分を補給することが大切です。一般に熱が高めでも元気がある場合には解熱剤を使用する必要はありませんが、高熱状態が続くことで脱水になったり体力が著しく消耗する場合には速やかに解熱させる必要があります。解熱鎮痛薬の服用の他に、首のまわりや脇の下、足の付け根を冷やす事も効果的です。子供の場合、解熱剤の使用の目安は38.5以上の時です。

解熱鎮痛薬について

主な解熱鎮痛薬には痛みや発熱の原因であるプロスタグランジンの産生を抑える作用のものと痛みの伝わりを抑える作用のものがあります。痛みが我慢できなくなってから鎮痛剤を飲む人も多いのですが、薬が効くまでには一定の時間がかかりますので、痛みが強まる前に服用する方が効果的です。

一般に解熱鎮痛薬には3つの種類があります。

非ステロイド性抗炎症薬:イブプロフェン、アスピリン、エテンザミド、ロキソプロフェンナトリウムなど

体内のシクロオキシゲナーゼという酵素の働きを止めてプロスタグランジンを作らせないようにすることで痛みを鎮めたり、熱を下げます。またノドの痛みや筋肉痛、関節炎などの炎症を抑えるのにもよく効きます。しかしプロスタグランジンには胃を守る働きもありますので、プロスタグランジンが作られないと胃が荒れてしまうことがあります。空腹時の服用は避け、食後すぐに服用し、長期間服用しないようにしてください。2011年1月には医療用医薬品のロキソプロフェンナトリウムが薬局で買えるようになりました。ロキソプロフェンナトリウムは痛みに早く効き、胃への負担の少ないプロドラッグです。プロドラッグとは成分が体の中に吸収されてから活性型に変化して効果を現わすお薬のことです。

非ピリン系解熱鎮痛薬:アセトアミノフェン  

痛みの伝わりを抑えることで痛みを鎮めたり、体温調節中枢に作用して高めにセットされた体温の設定を下げることで熱を下げる作用があります。胃の中のプロスタグランジンに関与しないので胃腸への負担が少なく、子供用の解熱鎮痛薬としても使われます。安全性の高い薬ですが、多量に飲みすぎると胃や肝臓を痛めることがありますので用法用量を守って服用してください。

ピリン系解熱鎮痛薬:イソプロピルアンチピリン  

非ステロイド性抗炎症薬と同じようにプロスタグランジンが体内で産生されるのを抑える薬です。痛みをしずめたり、熱を下げたりする作用は比較的強いのですが、炎症を抑える作用は弱いのが特徴です。市販の薬では他の解熱鎮痛成分と配合されています。副作用として、発疹(ピリン疹)などを起こすことがありますので注意が必要です。

市販の解熱鎮痛薬には鎮痛成分の他に、ブロムワレリル尿素や無水カフェインなどを組み合わせている物があります。ブロムワレリル尿素には頭痛に伴うイライラや緊張を鎮める効果があり、無水カフェインには中枢神経を刺激して疲労を緩和したり、眠気を抑える効果があります。また無水カフェインには同時に脳血管に作用して血管を収縮させて痛みを抑える作用もあります。痛みの感じ方が人それぞれ違うように、鎮痛薬の効果も人によって異なります。ご自分に合った鎮痛薬を選ぶと良いでしょう。

解熱鎮痛薬の注意点

解熱鎮痛薬の服用には注意したい点がいくつかあります。まず15歳未満の子どもでは使用できない薬があります。特に水痘、インフルエンザ等のウイルス性の病気の場合、重篤な副作用が報告されているため服用を禁止されている薬もありますので、インフルエンザなどの感染が疑われる場合には市販の薬を飲む前にすぐに受診してください。子どもの場合は子ども用の解熱鎮痛薬を選ぶようにしましょう。喘息の持病のある人は発作が誘発されることがあります。また糖尿病の薬を飲んでいる方は、解熱鎮痛薬を一緒に服用すると血糖値が下がり過ぎたりすることがあります。喘息や糖尿病の持病のある人は注意が必要です。

市販の解熱鎮痛薬は、痛みの原因を治すのではなく痛みを感じにくくする薬です。対症療法ですので、痛みの原因そのものを治すことはできません。また長く飲み続けることで胃を荒らしたり、肝臓、腎臓を傷めてしまうことがあります。安易な長期服用は止め、痛みが続く場合には早めに受診しましょう。

子どもは大人より体温が高い?

体温には深部体温と表面体温があります。深部体温は環境温度に影響されない身体深部の温度で、子どもも大人も38℃前後なのですが、その深部体温が組織や皮膚などを通るうちに低くなり表面体温となります。子どもは大人に比べて皮膚が薄いので表面温は37℃前後になりますが、皮膚が厚くなるに従って低くなり大人では36.5℃前後になります。また子どもは体重の割に表面積が大きいので、暑い環境下では熱を取り込みやすく、汗腺が未発達で小さいので汗の代わりに皮膚から熱を放散して体温調節を行うので表面の温度が高くなりやすいといわれています。衣服を着せ過ぎたりするだけでも熱が上がることがありますので、注意しましょう。

のどの痛み

風邪の典型的な症状の一つにのどの痛みがあります。これは主にのどの粘膜が炎症を起こしたり、頸部リンパ節が腫れている状態です。のどは空気や食べ物の通り道であると同時に、外部から侵入してくる病原体と接触する最前線でもあります。そのため、環境、気候の変化やからだの疲れなどでのどの粘膜の抵抗力が落ちると、すぐに細菌などの感染を起こしてしまうことになります。このようなのどの痛みには解熱鎮痛薬やトラネキサム酸などの消炎成分を含む物が良いでしょう。トラネキサム酸はアレルギーや炎症反応にかかわるプラスミンという酵素を抑えることで、喉の炎症を和らげます。また漢方薬では、炎症を鎮めるキキョウと痛みを和らげるカンゾウを組み合わせた桔梗湯や、消炎作用のあるキンギンカやレンギョウ、炎症を鎮めるキキョウ、ゴボウシなどを配合している銀翹解毒散などがあります。 その他、スプレー剤やトローチも有用です。喉の痛みに使われるスプレー剤やトローチには殺菌成分であるセチルピリジニウム塩化物や、炎症を抑える作用のアズレンスルホン酸ナトリウムなどが配合されています。メントール配合のものは清涼感があってすっきりします。

整腸の勧め 便秘・下痢対策から風邪・発がん予防まで

整腸の勧め 便秘・下痢対策から風邪・発がん予防まで

最近、腸が健康な人は風邪を引かないというような話をよく耳にしませんか?
これは本当の話で、腸と免疫はとても密接な関係にあるのです。

食べ物中の栄養素の吸収は腸で行われます。私たちは食べ物と一緒に細菌・ウィルス・化学物質などの有害物質も一緒に摂りこんでしまいますので、腸では栄養素と一緒にこれらの有害物質を吸収してしまわないために仕分け作業をしなくてはなりません。
その仕分け作業を担うのがどこよりも腸に多く存在するリンパ球などの免疫細胞です。
有害物質は腸の免疫細胞によって識別され、攻撃されて便として体外に排出されます。また、誰でも1日に1000~3000個のがん細胞が発生しますがその多くは腸内で発生すると言われています。
腸の免疫細胞はこのがん細胞も攻撃、排除してくれていますので健康を守るためには腸の免疫システムを順調に働かせることはとても重要なことと言えます。
腸内の環境を整えたことで、今まで悩んでいた便秘がウソのように治ったという話もよく耳にします。 慢性的なお腹のトラブルに悩んでいる人、風邪を引きやすいという人は腸内環境を整えることにトライしてみませんか?

腸内の環境を整えるには腸内細菌のバランスを整えてあげることが重要です。

腸内には約500種類、100兆個の腸内細菌が住みついており、乳酸菌やビフィズス菌を代表とする善玉菌と、大腸菌などの悪玉菌に分けられます。
善玉菌は他にも体にとって必要なビタミンの合成や腸の運動の促進など様々な役割を担う大切な菌です。逆に悪玉菌は腸内腐敗の原因を作り、発がん物質などの有害物質を作り出してしまうこともあります。また、腸内には普段は善玉側にいても腸内の環境の変化で悪玉に変化する日和見菌と呼ばれる菌も存在します。
健康な腸内では善玉菌が優位にあって悪玉菌の繁殖を抑えているのですが、加齢、食事、ストレスなどの影響でバランスが崩れると悪玉菌が増えて免疫がうまく働かないばかりでなく下痢、便秘、肌荒れなどの不調を引き起こします。

善玉菌の代表である乳酸菌とビフィズス菌についてお話しします。

乳酸菌はヨーグルト、味噌、醤油、漬物、チーズなどの発酵食品に多く含まれますが、ビフィズス菌はヨーグルト以外の食品にはほとんど含まれません。
乳酸菌は時間が経つと排出されてしまうのに対し、ビフィズス菌はもともと大腸に住み着いている菌で、その数は乳酸菌をはるかに上回ります。つまり、腸内の善玉菌の主役はビフィズス菌ということになります。
乳酸菌もビフィズス菌も“乳酸”や“酢酸”と呼ばれる酸を作り出します。この酸が腸内環境を悪玉菌の住みにくい酸性に傾けてくれるのです。

発酵食品は古くから私達の生活に取り入れられて来ましたが、食品中の乳酸菌のほとんどが腸に届く前に胃酸によって死滅してしまうことが判明し、その後生きたまま腸に届く菌の開発が進みました。
発酵食品をよく食べているのにお腹の調子が良くないという場合は乳酸菌が腸にたどり着いていない可能性がありますので、生きたまま届くタイプのサプリメントや薬を試してはいかがでしょうか?また、ビフィズス菌はもともと定住している菌を減らさない、増やすようにしてあげるのが良いと思います。
残念なことに、加齢とともにビフィズス菌は減少し、代わりに悪玉菌が増えてしまいます。60歳を過ぎると若年では検出されないウェルシュ菌などの悪玉菌が急激に増えるというデータもあります。
ビフィズス菌を守って年齢に負けない健康な腸を保ちましょう。

ビフィズス菌はオリゴ糖や食物繊維をエサにして増えますので普段の食事に食物繊維の豊富な食品を多く取り入れるようにしましょう。

オリゴ糖は未消化のまま大腸にたどり着き、大腸でビフィズス菌のエサとなってもともといたビフィズス菌をどんどん増やしてくれます。 ほんのりとした甘みの糖でカロリーも砂糖に比べ半分以下ですし、血糖値を上げることもありませんので毎日摂取しても安心です。 コーヒー、お茶、ヨーグルトなどに混ぜると摂取しやすいと思います。

登録販売者・薬剤師の一言
空腹時の胃は胃酸の影響でpHが1〜2ととても強い酸性になっています。 生きたまま腸に届く乳酸菌製剤でも、空腹時に飲むと強い酸にやられて死滅してしまいますので、乳酸菌やビフィズス菌の製剤を飲む場合は食後に飲むようにしてください。 また、乳酸菌は熱にも弱いので熱いお湯やお茶で飲むことも避けてくださいね。

便秘

便秘

便秘の原因
便秘の原因は多岐に渡ります。食生活の変化やダイエットによる食事や水分摂取量の減少、また、女性ホルモンの影響による妊娠中や 月経前の便秘、睡眠不足やストレスによる自律神経の乱れ、抗精神病薬や抗うつ薬、利尿剤などの薬の副作用などが挙げられます。 また、ひとことで便秘と言っても腸の状態によって「弛緩性便秘」「直腸性便秘」「痙攣性便秘」の3つのタイプに分けられます。

弛緩性便秘

弛緩性便秘は高齢者や出産後の女性に多く、腹筋力の低下などで腸の便を送り出す力が弱まることが原因です。お腹が張る、排便後に残便感が残る、食欲が低下するなどといった症状が出ます。

直腸性便秘

直腸性便秘は便意を感じてもよくトイレを我慢してしまう人に多いと言われています。我慢しているうちに便が直腸に到達しても便意を感じにくくなり、便が長く停滞するので硬い便になります。

痙攣性便秘

痙攣性便秘は睡眠不足やストレス状態が続いている人に多い便秘です。ストレスが自律神経のバランスを崩し、腸の運動が活発になり過ぎて痙攣状態になり、便が通過し難くなります。強い便意を感じてもなかなか出すことができず、コロコロとした硬い便が出ます。

便秘薬に頼り切ってしまうのも良くありませんが、便秘が長引くと肌トラブルや不眠・イライラなどの別のトラブルを招くこともあります。また硬い便を出そうとして痔になることもよくありますので薬を使ったコントロールも必要です。便秘薬も薬によって作用の仕方が異なりますので特徴を知ってご自分に合いそうな薬を選んでみてください。

便秘薬の選び方

塩類下剤(酸化マグネシウム・硫酸マグネシウムなど)

飲むと腸内に薬が留まり腸の中に水分を引きこんで便を軟らかくします。習慣性もほとんどなく、お腹が痛くなることもありません。薬の量を調節することで便の硬さをコントロールできるので、初めて便秘薬を使用する人、痙攣性便秘の人はこのタイプが良いと思います。腸内の水分を利用して便を軟らかくしますので、水分を多めに摂るとより効果的です。ただし、心臓疾患のある人や腎臓に障害のある人は使用できないことがありますので薬剤師に相談してください。

膨張性下剤(プランタゴ・オバタ)

オオバコ科の植物の種子を精製したもので、主成分は食物繊維です。水を含むと30~40倍に膨らむ性質があるので大腸内の水分を吸収して膨張し、便の量を増やすことによって腸を刺激します。弛緩性便秘の人、初めて便秘薬を使用する人にお勧めします。痙攣性便秘の場合は便が膨張して余計に通過し難くなり不向きです。水を含んで膨張するので必ず多めの水で飲んでください。生理的に近い排便が得られ、副作用もほとんどありませんが稀に強い腹部膨満感が現れる場合があります。

刺激性下剤(センナ・センノシド・アロエ・ダイオウ・ビサコジル)

飲んでから6~8時間後に大腸に到達し、大腸粘膜を刺激して排便を促します。寝る前に飲むと、翌朝の腸が活動を始める頃に便意を催します。作用が強いので頑固な便秘の人にお勧めしますが、習慣性があるため長期間の連用は避けましょう。このタイプの薬は腸で溶けて効くようにコーティングされている薬が多く、胃の中に食べ物が残っている食後に飲むと腸に届く前にコーティングがはがれて効き目が弱くなってしまうことがあります。パッケージに書いてある用法の時間通りに飲んでくださいね。また、痙攣性便秘の人が服用すると大腸への刺激が腸の痙攣を悪化させてしまい、お腹は痛いのに便は出ないという状態になる可能性があります。痙攣性便秘かな?と思われる人は便を軟らかくする塩類下剤が適していますが、効かない場合は精神安定剤等でストレスを取り除いた方が良い場合もありますので医師の診断を受けてください。

刺激性下剤(ピコスルファートナトリウム)

ピコスルファートナトリウムも大腸を刺激して運動を促進させる薬ですが、効き目が穏やかで効き過ぎてもお腹が痛くなりにくい薬です。習慣性も少なく、癖になりにくいと言われています。大腸に存在する細菌によって分解された後に効果を現わしますので 食後に飲んでも効果が弱まることはありません。やや強めの便秘で、便秘薬を初めて飲む人にお勧めします。

浣腸(グリセリン)

浣腸は硬い便が直腸につまっていて、便意があるのになかなか出ない場合や残便感のある場合に便利です。

肛門から注入するとグリセリンが肛門や直腸を刺激して排便を促します。速効性があるので急な便秘の時や排便時間をコントロールしたい時にも使えます。薬液を肛門から注入し、注入後最低でも便意が強まるまで(3~10分)我慢してから排便します。赤ちゃんからお年寄りまで使える安全な薬ですが、常用すると“慣れ”が生じてしまいますので、常用は避けてください。

坐薬

肛門内に挿入すると体温で坐薬中の薬効成分が溶け出して大腸を刺激します。なかには下剤成分を含有せず、溶ける際に炭酸ガスを発生し、そのガスが直腸を刺激するものもあります。いずれも挿入後3~30分後に排便を促すのですぐに出したい時に便利です。便意を感じてすぐにトイレに行くと坐薬だけが出てしまうことがありますので、便意が強まるまでしばらく我慢してください。

坐薬の挿入が難しい場合は表面に水やベビーオイルを塗るか、清潔な指で先端部分を触って少しだけ溶かすとスベリが良くなって楽に挿入できます。すぐに出したいが浣腸には抵抗があるという人に人気があるようですが、こちらも“慣れ”が生じないよう常用は避けてください。

赤ちゃんの便秘に
離乳食のスタートによって母乳やミルクの量が減り、水分量が不足することで便秘になる赤ちゃんがいます。離乳食スタート前でも、飲む量が減ったり運動量が少ないと便秘になることがあります。 赤ちゃんの便秘が心配なお母さんは麦芽糖を試してみてはいかがでしょうか?麦芽糖は大腸内で発酵し、発酵成分が腸の動きを活発にするとともに便を軟らかくしてくれます。麦芽糖は砂糖と違って虫歯の原因菌が好まない糖ですので虫歯になる心配も少なく安心です。 甘みのある成分ですが、少し癖があるのでそのままで飲んでくれない赤ちゃんにはお湯や麦茶で薄めて飲ませてあげると良いでしょう。

お腹の張りに
腸内のガスは誰でも発生するものですが、便秘の時は腸内で異常発酵が起きてガスがより発生しやすくなります。発生したガスは停滞している便によって出口を塞がれお腹に溜まってしまいます。ガスが溜まっているのに排出できないと、お腹が張りコポコポと鳴ったり腹痛が起きることもあります。こんな時は溜まったガス溜まりを分解してくれる薬が良いでしょう。ガスを排出させる薬は大きなガス溜まりをつぶして排出しやすくする薬です。

季節の変わり目の体調管理

季節の変わり目の体調管理

「木枯らし1号」という言葉を耳にするようになりました。木枯らし1号とは、10月半ばから11月末までの冬型の気圧配置のとき、東京か大阪でその年初めて吹いた北寄りのやや強い風をいいます。本格的な冬到来に備え、これまで以上に体調管理に努めましょう。

体内時計により血圧が上昇してくる時期

私たちの体には、夜になれば自然と眠くなり、朝になると目が覚めるといった体内時計の仕みが備わっています。

体内時計にはこのような1日の周期だけでなく、1年の周期もあります。また、体内時計は血圧の調整にも関わっています。血圧は1日の中で睡眠中に低くなり、起床とともに上昇していきますが、1年の流れでみると、春から夏に下がり、秋から冬に上昇する傾向があります。寒い季節に血圧が上がるのは、熱が外へ逃げないように血管が収縮し、血管に圧がかかるためと考えられています。

血圧上昇は脳卒中のリスクを高めます。日頃から血圧が高い人はもちろん、春や夏は正常値の人でもこれからの季節は血圧が上がる可能性があるので、毎日起床後に血圧を測定するとよいでしょう。ちなみに、家庭で測定する血圧値は、収縮期血圧(上の血圧)135rnmHg末満かつ拡張期血圧(下の血圧)85rnrnHg未満を保つことが卒中の予防になるといわれます。

温度変化をなくしてヒートショックを防止

血圧に関してさらにいえば、これからの季節は「ヒートショック」が起こりやすくなるので注意が必要です。ヒートショックとは、急な渇度変化によって血圧が急上昇したり下降したりして、体が不調をきたすことをいいます。ヒートショックを起こすと、脳卒中や心筋梗寒を招き、最悪の場合、生命に危険が及ぶこともあります。

ヒートショックが最も起こりやすいのは入浴時です。暖かい居間から寒い脱衣所に行って血圧が上がり、湯に入った直後にさらに血圧が上がり、しばらく湯につかっていると血圧が下がる、浴室から寒い脱衣所に出ると再び血圧が上がる。と血圧が大きく変動します。入浴時のヒートショックを防ぐには、前もって脱衣所や浴室を暖めておく、いきなり湯に入るのは避け、手や足などの心から遠い部分からかけ湯をする、湯の温度は40℃程度までにする、などが有効です。

日光を浴びてビタミンDを生成

冬至に向けて、日照時間はどんどん短くなります。また、寒いと戸外で過ごす時間が少なくなりがちです。こうしたことからビタミンD不足が懸念されます。

ビタミンDは体内でカルシウムの吸収を助け、血液中のカルシウムを骨まで運ぶ働きをします。ビタミンDは干しシイタケやしらす干しなどの食品に含まれますが、実は日光を浴びることによっても作られます。

ビタミンD不足が続くと、子どもではくる病、大人では骨粗しょう症のリスクを高めます。冬場であっても努めて戸外に出て、日光を浴びるようにしましょう。

なお、季節の変わり目の体調管理についてわからないことがある場合は、薬剤師に気軽におたずねください。

胃の不調と薬

胃の不調と薬

夏バテや熱中症など、暑さの厳しい夏に体調を保つのは大変です。体力維持のためにしっかり栄養を!と思っても、この季節は食欲がなくて、ついつい冷たい物をとりすぎてしまいがちになることもありますよね。
冷たい物ばかりの食事になると胃が冷やされて働きが低下するうえに、栄養不足も重なり、倦怠感が抜けません。また夏場は、冷房などによる体の冷やし過ぎや、寝不足、食中毒など胃腸への負担も大きい季節でもあります。
胃腸は健康の要です。胃腸に負担をかけないように普段から気をつけることも大事なことですが、不調を感じたら早めに症状を改善する事も健康にとって大切なことだと思います。そこで今回は胃のトラブルと薬についてお話したいと思います。

不調時の症状は?

胃のトラブルといっても、胃もたれや胃痛、食欲不振など様々な症状があり、原因も色々です。
例えば胃の働きが低下している場合は食後に症状が現れることが多く、消化不良や腹部膨満感、食欲不振、胃のむかつきなどの症状が現れます。一方、胃酸が出過ぎている場合には空腹時に症状が現れる事が多く、胃もたれとともに胃痛、胸やけを訴えるのが特徴的です。
また一言で胃薬といっても、胃酸を抑える薬や胃の粘膜を保護する薬、漢方薬など様々なタイプの薬があります。市販薬は色々な症状に効くように、数種類の成分が入っているものもたくさんあります。症状に応じて有効な成分を含む薬を選びましょう。

胃痛・胸やけ

胃痛や胸やけは主に胃酸の出過ぎによって起こる症状です。胃酸は暴飲暴食やコーヒー、香辛料などの刺激物の摂りすぎ、ストレス等が原因となって多量に分泌されます。胃酸はとても強い酸で、過剰になると胃壁の粘膜をも攻撃して粘膜が荒れてしまい痛みなどの症状が出ます。また、出過ぎた胃液が食道に逆流し、食道の粘膜を刺激してみぞおちの辺りが焼けるように感じるのが胸やけです。この様な場合、胃酸を抑える薬が有効です。

特に症状が強い場合には、胃酸の分泌を強力にブロックし胃粘膜の修復を促すH2ブロッカーが効果的です。H2ブロッカーは胃壁細胞にあるヒスタミン受容体に作用し、胃酸の分泌を抑える薬で医療用にも使用されています。空腹時や夜間に胃が痛む、もたれるといった症状によく効きます。H2ブロッカーは食事に影響を受けないため食前食後を問わずいつでも服用可能ですので、症状のある時にすぐ飲む事が出来ます。ただし、続けて飲む場合には8時間以上間隔を空けて、1日2回までにしましょう。またH2ブロッカーは2週間以上続けて飲むことは禁じられていますので、予防的に飲んだり長期連用は避けてください。

軽い痛みや慢性的な胸やけには制酸薬や粘膜保護作用のある成分の入った薬をお勧めします。制酸薬は過剰に出過ぎた胃酸を中和して胃酸による胃壁への攻撃を弱めます。さらに胃酸による攻撃から胃粘膜を保護するために、胃粘液の分泌を促進させたり胃の血流を増加させ、傷ついた胃粘膜を保護、修復する成分であるアルジオキサやソファルコンといった粘膜保護薬・修復薬を併用すると相乗効果が得られます。

飲み過ぎ・二日酔いで胃がムカムカするとき

アルコールを飲み過ぎると、アルコールの胃粘膜への刺激によって胃酸分泌が増え、胃の中は胃酸過多になり急性胃炎の状態になってしまいます。そのため、嘔吐、吐き気、胃のむかつき等の症状が現れます。

まず予防としては、アルコール吸収を遅くする、アルコールの刺激から胃壁を保護する、肝機能を高めることが大切です。飲酒の前に、胃粘膜保護薬を飲んでおくと、アルコールの刺激から胃壁を守り、かつアルコールの吸収を遅らせる効果があります。胃内に食べ物があると食べ物が胃壁への刺激を緩和してくれますし、アルコールの吸収もゆっくりになりますので、何か食べながら飲むと良いでしょう。

ウコンは胃腸と肝臓を活発にし、アルコールの代謝を助け胃の状態を整えてくれます。ウルソデオキシコール酸には肝臓の働きを高める作用があり、さらに脂肪の消化作用も高めてくれます。漢方薬の五苓散は飲酒の前に飲むと体内の水分代謝がよくなり、二日酔いを予防することができます。

それでもついつい飲み過ぎてしまった時には、アルコールの利尿作用により脱水状態にもなっていますので、まずは水分の補充が大切です。アルコールの分解には糖分が必要ですので、お茶や水よりも糖分の入った飲み物たとえばスポーツドリンクなどが適しています。

二日酔いの吐き気、胃のむかつきには胃酸を抑えるH2ブロッカーや胃酸を中和する制酸薬、消化液の分泌を促進して胃の機能を亢進させる健胃薬やアルコールの解毒を助ける漢方薬の黄連解毒湯などが有効です。液体タイプは飲んですぐに清涼感を感じられます。

さらにシジミやL-システインも有効です。シジミにはビタミンB群がたくさん含まれている上、肝臓を元気にするアミノ酸であるアラニンが豊富に含まれています。L-システインは一般には美白や肌ケアのイメージが強いと思いますが、体内の新陳代謝を活発にし、肝機能を高めて、二日酔いの原因物質の代謝・分解を早める効果もあります。胃薬などと一緒に飲んでみてはいかがでしょうか。

胃もたれ・消化不良

胃もたれは、胃の消化能力が低下したり、食事の量が胃の消化能力を超えたりした場合に起こる一種の消化不全で、胃が重く感じられる不快感です。この場合、消化を促す消化酵素を配合した胃薬が最適です。消化酵素には脂肪を分解するリパーゼや炭水化物、でんぷんを分解するジアスターゼ、アミノ酸、タンパク質を分解するプロザイム、ビオタミラーゼなどがあります。

また、胆汁成分のひとつであるウルソデオキシコール酸は脂肪の消化吸収を促進します。これらの消化酵素は胃腸の働きを整える健胃薬と一緒に摂るとより効果的です。消化酵素剤はタンパク質でできているため、あまり熱いお湯で飲むと分解してしまうので注意しましょう。消化を助ける薬ですので食後に飲むのが効果的です。

その他、普段から食事の時に良く噛んで食べることも大切です。良く噛むことで唾液の分泌が良くなり炭水化物の消化が進みます。その上、噛むことで食べ物が細かくなり、胃で消化されやすくなります。大根などには消化酵素であるジアスターゼが含まれますので、一緒に摂るようにするのも良いでしょう。 

胃の不快感~なんとなく調子が悪い時など~

胃の粘膜に潰瘍や炎症がなくても胃もたれなどの症状を繰り返す場合があります。この様な時にはストレスや疲れによって胃の働きが低下している事が多いので、胃本来の働きを取り戻し、様々な不調を改善する漢方薬・生薬を試してみてはいかがでしょうか。

漢方薬とその他の胃腸薬の違いは?

一般の胃腸薬は科学的に合成された成分で、特定の部位に働きかけ胃酸の出過ぎを抑えるなど個別の症状に効果があります。これに対して漢方薬は複数の生薬を含むことで全身に働きかけ、胃が本来持っている消化や吸収の働きを取り戻すことによって、胃の痛みなどのさまざまな症状を改善するのが特徴です。

生薬って何?

植物など天然の産物を薬として用いる物です。例えば身近な植物としてショウキョウ(生姜の根)、ケイヒ(シナモン)などがあります。胃の不調に効果のある主な生薬には以下のようなものがあり、それらを組み合わせたものが漢方薬です。
・ケイヒ・シュクシャ・リョウキョウ・ショウキョウ:健胃作用
・エンゴサク:胃の痛みを抑える
・ボレイ:胃酸を中和する
・ウイキョウ:健胃作用・胃酸の分泌を抑える作用

漢方薬の上手な飲み方は?

一般的に空腹時に飲んだ方が成分の吸収が良いため、食前または食間に飲むのが効果的です。食間とは食事と食事の間で、食後2~3時間くらいが目安です。一般の飲み薬と同様にたっぷりの水かぬるま湯で飲み、用法用量を守ることも大切です。食べ過ぎや飲み過ぎの時には、寝る前に飲んでおくと翌朝の胃もたれや胸やけを防ぐこともできますよ。

さし込む様な痛み

胃やお腹の突然の激しい痛み、さし込むような痛みは胃や腸を動かしている内臓の筋肉のけいれんや過度の緊張により起こります。この様な場合には鎮痛鎮痙薬が有効です。鎮痛鎮痙薬は胃腸の運動をコントロールしている副交感神経に作用して、過度の緊張やけいれんを和らげることでさし込む様な痛みを抑えます。

辛い時に服用し、安静にしていると症状が落ち着いてきます。まれに目のかすみ等の症状があらわれることがありますので、薬を飲んだ後は乗り物又は機械類の運転操作をしないでください。また、尿が出にくい方や緑内障の方が鎮痛鎮痙薬を飲むと症状が悪化する場合がありますので必ず薬剤師に相談してください。

局所麻酔薬を含む薬は局所麻酔薬が胃粘膜の感覚を一時的に麻痺させて痛みや不快感を感じなくさせる作用があります。
この薬を噛んで飲むと口内がしびれることがありますので砕かずにそのまま飲むようにしてください。しかし薬を飲んでも痛みが改善しない場合には、胆石や腸閉塞など何らかの病気が潜んでいる場合がありますのですぐに受診してください。痛みといっても頭痛などの痛みとは全く異なるもののため、解熱鎮痛薬では効果がない上、かえって胃を荒らしてしまいますので、注意してください。

暑い夏には冷たいビールがついつい進んでしまいますよね。アルコールだけでは胃への負担も大きくなります。「食べ物と一緒に摂る」「アルコールもほどほどに」を心掛けて、元気に暑い夏を乗り切りましょう。

長引く胃の不調や繰り返す胃の痛みなどは原因にピロリ菌が潜んでいる事があります。市販のお薬を飲む事が多いなあと感じたら、一度病院へ行ってみましょう。ピロリ菌は除菌する事が可能です。

突然、見舞われる「足のつり」の対処法と予防法

突然、見舞われる「足のつり」の対処法と予防法

寝ていたら突然足がつって激しい痛みに襲われた、という経験は誰でも一度はあるのではないでしようか。
痛みが引くまではつらく、不安なもの。冬は特に足がつりやすい時期です。その対処法と予防法を知っておきましよう。

骨格筋にあるセンサーが誤作動し、筋肉が過剰収縮

「足がつる」とは、ふくらはぎの筋肉がけいれんを起こし、強い痛みを伴う状態を指し、こむら返りともいいま魂ちなみに、-こむら・とは、ぶくらはきの古い呼び方です。筋肉のけいれんは、ふくらはぎだけでなく、足の裏や指、太もも、お尻、腰、背中などでも起こることがあり、医学用語では「有痛性筋けいれん」と呼ばれます。
なぜ足がつるのかは完全には明らかになっていませんが、骨格筋にあるセンサーの誤作動が原因の一つと考えられています人体すべての骨格筋には、伸びすきや縮みすきを監視する筋紡鍾と腱紡錘というセンサーがあります。なんらかの理由でこれらのセンサーの働きが低下すると、筋肉が過剰に収縮し、筋肉の震えとなって現れます。

水分不足や筋肉量の減少が要因

センサーに誤作動を生じさせる要因として、体内の水分不足、加齢や運動不足からくる筋肉の減少、ナトリウムやマグネシウム、カリウムなどの電解質のバランスの乱れなどが挙げられます。時には、降圧薬や利尿薬などの薬が影響していることもあります頻度は少ないものの、腎不全や心臓病などの病気が引き金になる場合もあります。
たまに足がつる程度であれば心配は無用ですが、毎日のように足がつるときは、病気が隠されている可能性もあるので、医療機関を受診しましよう。

足がつったときは筋肉を伸ばす

足がつったときは、過剰に収縮している筋肉を伸ばすことが大切です。
つった側の足の爪先を両手でつかみ、手前にゆっくりと引き、ぶくらはぎを伸ばします。数秒から数分問そのままの姿勢を保ち、ゆっくり元に戻します。これを痛みが消えるまで級り返しま魂足のつりの予防にはストレッチが有効です。階段やイスなどに片足をのせ、反対側のふくらはぎとひざ裏の筋肉を30秒ほどしっかり伸ばします。左右の足を入れ替えて同様に行います。睡眠中は、足が冷えるとつりやすくなります。レッグウォーマーや、ふくらはぎを覆う長さの靴下などをはいて寝るとよいでしよう。こまめに水分を補給する、毎日バランスよくミネラルをとるといったことも心がけましよう。ミネラルの中でも日本人はマグネシウムが不足気味です。スルメやワカメ、ゴマやナッツなど、マグネシウムを豊富に含んでいるものを意識してとりましよう。また、足がつったときに即効性のある漢方薬の芍薬甘草湯もあります足がつって心配という方は、薬剤師に気軽にこ相談ください。

保湿剤の種類・使い方

保湿剤の種類・使い方

保湿剤の種類・使い方
冬は乾燥による皮膚トラブルが起こりやすい時期です。
保湿剤は、同じ名前の薬でもクリーム、軟膏、ローションなどで用途が違うとがあり、また、症状にあわせた薬を使用していても適切な塗リ方をしないと効果が出ないこともあリます。保湿剤は皮膚の水分が逃げないように皮膚を覆ったり、皮膚に水分を与えたリする役割があり、バリア機能を維持する効果があります。
保湿剤の種類と塗り方について解説します。

皮膚の乾燥とは

健康な皮膚では、水分の蒸発や外からの刺激などを防ぐことができます。しかし、様々な理由(加齢による皮膚保護成分の分泌低下、糖尿病、透析など)で皮脂などか不足し皮膚が乾燥するとバリア機能が低下し、水分が失われやすくなり外からの刺激にも弱い状態になります。皮膚の隙間から紫外線や細菌、ホコリなど、外部刺激が侵入し、皮膚トラブレを引き起こすようになります。

主の保湿剤の種類

へパリン類似物質(ヒルドイドなど):血流をよくして保湿作用がある。血流がよくなるので傷口には注意。
尿素(ウレバールなど):水分保有力の増強作用がある。傷があると刺激を伴う。
ワセリン(プロベトなど):皮膚を覆い、刺激から守る。多くの部位に使いやすいがべたっき感が強い。
ビタミン含有(ユベラ・ザーネなど):表皮の新陳代謝を高めたリ、血行促進作用があるとされる。

塗るタイミング

皮膚が柔らかく、保湿剤が浸透しやすい入浴後5~10分以内が効果的と言われていますが、塗る回数も大切とされています。乾燥している時期は、水仕事の後など、1日2回以上は塗るようにしましよう。べたっきが気になるようなら寝る前にしましよう。*ステロイド剤など、保湿以外の作用を目的としている場合は異なリます。薬剤師に確認しましよう。

保湿剤の塗り方

多くの保湿剤はすり込みすぎると皮膚刺激となることがあるので、優しく塗ります。

1FTUの考え方
一般的に軟青・クリームを人差し指の先から第一関節まで出した量を1FTU(1finger tip unit)といい、0.5g(25gチューブの場合)に相当します。容器に入っている軟膏は差し指の先から第一関節の半分くらいまですくった量、ローションなどは1円玉サイズが0.5gに相当します。

1回使用量の目安
頭・首:2.5FTU
胴体:前後 各7FTU
片腕:3FTU
片手:1FTU
片脚:6FTU
片足:2FTU

皮膚のしわの方向(骨に対して横向きの方向)にそって塗ると全体に広がりやすくなります。

保管方法

保存温度は大部分が1℃~30℃です。
一度高温で溶けた塗リ薬は冷やして硬くなっても、同じ効果が得られない場合があるので使用しないようにしましよう。
また、2種類以上の薬を混ぜた軟膏などは汚染や分離しやすい、などの理由から、使用期限が大幅に短くなっている可能性もあり、余ったものを取っておく、ということはやめましよう。

参照資料:日医工株式会社ビーソフテンローション指導せんマルホ株式会社保湿剤の塗リ方

冬の皮膚トラブルに注意

冬の皮膚トラブルに注意

冷たい北風にさらされ、肌荒れしやすい季節になりました。
かゆみや湿疹、発疹など、この時期の肌はトラブルと隣り合わせ。しかし、適切なケアを行えば、多くの肌トラブレは避けられます。
健康な肌で冬を乗り切るための注意点を押さえておきましよう

寒さや温かさがじんましんを引き起こすことが

冬の肌トラブルでしばしば見られるものに「寒冷じんましん」があります。寒い外気に当たったり、冷たい物に触ったりしたとき、肌にかゆみを伴う赤い発疹ができるじんましんです。皮膚に寒冷刺激が加わることで、かゆみの原因物質であるヒスタミンが皮膚の肥満細胞から大量に分泌されて発症します。反対に、温かさが刺激になって同様のじんましんが生じることがあります。これを「温熱じんましん」といいます。この時期だと、ホットカーベットやストーブ、カイロなどからの温熱が刺激となることが多いようです。寒冷じんましんの場合は発疹が出た場所を温め、温熱じんましんの場合は冷やすと、通常、数分~30分程度で症状は治まってきます。

保湿剤をたっぷり塗って肌を乾燥から守る

気温が低くなり湿度も低下する冬は、肌が乾燥しやすくなります。そのため、皮膚の一番外側にあって、皮膚からの水分蒸発を防ぐ皮脂膜が乱れ、皮膚のバリア機能が低下します。そこに寒冷刺激や潟熱刺激、あるいは衣服との摩擦などの刺激が加わると、かゆみが生じたり発疹が出たりします。
寒冷じんましんや熱じんましんの症状を悪化させないためには、肌を乾燥から守ることが大切です。入浴時にナイロンタワシなどに石けんをつけてゴシゴシ洗うと、皮脂腴が失われてしまいます。手のひらで石けんを泡立て、その泡で肌をやさしく洗います。
お風呂からあがったら、すぐに保湿剤を全身にたっぷりと塗りましよう。このときも、肌に刺激を与えないよう、やさしく塗ってください。湿度が50%を下回ると、皮膚からの水分蒸発が始まるといわれます。加湿器などを使い室内の湿度を50~60%程度に保つことも大切です。

保湿剤

自己判断で薬の使用を止めないで

かゆみが続く、皮膚症状がひどくなった、かゆくなった部分をかきむしって患部がグジュグジュしているといった場合は、早めに医療機関を受診してください。治療では、皮膚トラブレの症状に応じて、炎症やかゆみを抑えるステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬などが用いられます。症状が落ち着いたからと自己判断で薬の使用を中止すると、再発をくり返したり、しだいに症状が重くなったりすることがあります。必ず医師や薬剤師に相談してください。また、皮膚トラブレについてわからないことがあるときも、薬剤師に気軽におたずねください。