保湿剤の種類・使い方

保湿剤の種類・使い方

保湿剤の種類・使い方
冬は乾燥による皮膚トラブルが起こりやすい時期です。
保湿剤は、同じ名前の薬でもクリーム、軟膏、ローションなどで用途が違うとがあり、また、症状にあわせた薬を使用していても適切な塗リ方をしないと効果が出ないこともあリます。保湿剤は皮膚の水分が逃げないように皮膚を覆ったり、皮膚に水分を与えたリする役割があり、バリア機能を維持する効果があります。
保湿剤の種類と塗り方について解説します。

皮膚の乾燥とは

健康な皮膚では、水分の蒸発や外からの刺激などを防ぐことができます。しかし、様々な理由(加齢による皮膚保護成分の分泌低下、糖尿病、透析など)で皮脂などか不足し皮膚が乾燥するとバリア機能が低下し、水分が失われやすくなり外からの刺激にも弱い状態になります。皮膚の隙間から紫外線や細菌、ホコリなど、外部刺激が侵入し、皮膚トラブレを引き起こすようになります。

主の保湿剤の種類

へパリン類似物質(ヒルドイドなど):血流をよくして保湿作用がある。血流がよくなるので傷口には注意。
尿素(ウレバールなど):水分保有力の増強作用がある。傷があると刺激を伴う。
ワセリン(プロベトなど):皮膚を覆い、刺激から守る。多くの部位に使いやすいがべたっき感が強い。
ビタミン含有(ユベラ・ザーネなど):表皮の新陳代謝を高めたリ、血行促進作用があるとされる。

塗るタイミング

皮膚が柔らかく、保湿剤が浸透しやすい入浴後5~10分以内が効果的と言われていますが、塗る回数も大切とされています。乾燥している時期は、水仕事の後など、1日2回以上は塗るようにしましよう。べたっきが気になるようなら寝る前にしましよう。*ステロイド剤など、保湿以外の作用を目的としている場合は異なリます。薬剤師に確認しましよう。

保湿剤の塗り方

多くの保湿剤はすり込みすぎると皮膚刺激となることがあるので、優しく塗ります。

1FTUの考え方
一般的に軟青・クリームを人差し指の先から第一関節まで出した量を1FTU(1finger tip unit)といい、0.5g(25gチューブの場合)に相当します。容器に入っている軟膏は差し指の先から第一関節の半分くらいまですくった量、ローションなどは1円玉サイズが0.5gに相当します。

1回使用量の目安
頭・首:2.5FTU
胴体:前後 各7FTU
片腕:3FTU
片手:1FTU
片脚:6FTU
片足:2FTU

皮膚のしわの方向(骨に対して横向きの方向)にそって塗ると全体に広がりやすくなります。

保管方法

保存温度は大部分が1℃~30℃です。
一度高温で溶けた塗リ薬は冷やして硬くなっても、同じ効果が得られない場合があるので使用しないようにしましよう。
また、2種類以上の薬を混ぜた軟膏などは汚染や分離しやすい、などの理由から、使用期限が大幅に短くなっている可能性もあり、余ったものを取っておく、ということはやめましよう。

参照資料:日医工株式会社ビーソフテンローション指導せんマルホ株式会社保湿剤の塗リ方

冬の皮膚トラブルに注意

冬の皮膚トラブルに注意

冷たい北風にさらされ、肌荒れしやすい季節になりました。
かゆみや湿疹、発疹など、この時期の肌はトラブルと隣り合わせ。しかし、適切なケアを行えば、多くの肌トラブレは避けられます。
健康な肌で冬を乗り切るための注意点を押さえておきましよう

寒さや温かさがじんましんを引き起こすことが

冬の肌トラブルでしばしば見られるものに「寒冷じんましん」があります。寒い外気に当たったり、冷たい物に触ったりしたとき、肌にかゆみを伴う赤い発疹ができるじんましんです。皮膚に寒冷刺激が加わることで、かゆみの原因物質であるヒスタミンが皮膚の肥満細胞から大量に分泌されて発症します。反対に、温かさが刺激になって同様のじんましんが生じることがあります。これを「温熱じんましん」といいます。この時期だと、ホットカーベットやストーブ、カイロなどからの温熱が刺激となることが多いようです。寒冷じんましんの場合は発疹が出た場所を温め、温熱じんましんの場合は冷やすと、通常、数分~30分程度で症状は治まってきます。

保湿剤をたっぷり塗って肌を乾燥から守る

気温が低くなり湿度も低下する冬は、肌が乾燥しやすくなります。そのため、皮膚の一番外側にあって、皮膚からの水分蒸発を防ぐ皮脂膜が乱れ、皮膚のバリア機能が低下します。そこに寒冷刺激や潟熱刺激、あるいは衣服との摩擦などの刺激が加わると、かゆみが生じたり発疹が出たりします。
寒冷じんましんや熱じんましんの症状を悪化させないためには、肌を乾燥から守ることが大切です。入浴時にナイロンタワシなどに石けんをつけてゴシゴシ洗うと、皮脂腴が失われてしまいます。手のひらで石けんを泡立て、その泡で肌をやさしく洗います。
お風呂からあがったら、すぐに保湿剤を全身にたっぷりと塗りましよう。このときも、肌に刺激を与えないよう、やさしく塗ってください。湿度が50%を下回ると、皮膚からの水分蒸発が始まるといわれます。加湿器などを使い室内の湿度を50~60%程度に保つことも大切です。

保湿剤

自己判断で薬の使用を止めないで

かゆみが続く、皮膚症状がひどくなった、かゆくなった部分をかきむしって患部がグジュグジュしているといった場合は、早めに医療機関を受診してください。治療では、皮膚トラブレの症状に応じて、炎症やかゆみを抑えるステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬などが用いられます。症状が落ち着いたからと自己判断で薬の使用を中止すると、再発をくり返したり、しだいに症状が重くなったりすることがあります。必ず医師や薬剤師に相談してください。また、皮膚トラブレについてわからないことがあるときも、薬剤師に気軽におたずねください。