便秘の原因
便秘の原因は多岐に渡ります。食生活の変化やダイエットによる食事や水分摂取量の減少、また、女性ホルモンの影響による妊娠中や 月経前の便秘、睡眠不足やストレスによる自律神経の乱れ、抗精神病薬や抗うつ薬、利尿剤などの薬の副作用などが挙げられます。 また、ひとことで便秘と言っても腸の状態によって「弛緩性便秘」「直腸性便秘」「痙攣性便秘」の3つのタイプに分けられます。
弛緩性便秘
弛緩性便秘は高齢者や出産後の女性に多く、腹筋力の低下などで腸の便を送り出す力が弱まることが原因です。お腹が張る、排便後に残便感が残る、食欲が低下するなどといった症状が出ます。
直腸性便秘
直腸性便秘は便意を感じてもよくトイレを我慢してしまう人に多いと言われています。我慢しているうちに便が直腸に到達しても便意を感じにくくなり、便が長く停滞するので硬い便になります。
痙攣性便秘
痙攣性便秘は睡眠不足やストレス状態が続いている人に多い便秘です。ストレスが自律神経のバランスを崩し、腸の運動が活発になり過ぎて痙攣状態になり、便が通過し難くなります。強い便意を感じてもなかなか出すことができず、コロコロとした硬い便が出ます。
便秘薬に頼り切ってしまうのも良くありませんが、便秘が長引くと肌トラブルや不眠・イライラなどの別のトラブルを招くこともあります。また硬い便を出そうとして痔になることもよくありますので薬を使ったコントロールも必要です。便秘薬も薬によって作用の仕方が異なりますので特徴を知ってご自分に合いそうな薬を選んでみてください。
便秘薬の選び方
塩類下剤(酸化マグネシウム・硫酸マグネシウムなど)
飲むと腸内に薬が留まり腸の中に水分を引きこんで便を軟らかくします。習慣性もほとんどなく、お腹が痛くなることもありません。薬の量を調節することで便の硬さをコントロールできるので、初めて便秘薬を使用する人、痙攣性便秘の人はこのタイプが良いと思います。腸内の水分を利用して便を軟らかくしますので、水分を多めに摂るとより効果的です。ただし、心臓疾患のある人や腎臓に障害のある人は使用できないことがありますので薬剤師に相談してください。
膨張性下剤(プランタゴ・オバタ)
オオバコ科の植物の種子を精製したもので、主成分は食物繊維です。水を含むと30~40倍に膨らむ性質があるので大腸内の水分を吸収して膨張し、便の量を増やすことによって腸を刺激します。弛緩性便秘の人、初めて便秘薬を使用する人にお勧めします。痙攣性便秘の場合は便が膨張して余計に通過し難くなり不向きです。水を含んで膨張するので必ず多めの水で飲んでください。生理的に近い排便が得られ、副作用もほとんどありませんが稀に強い腹部膨満感が現れる場合があります。
刺激性下剤(センナ・センノシド・アロエ・ダイオウ・ビサコジル)
飲んでから6~8時間後に大腸に到達し、大腸粘膜を刺激して排便を促します。寝る前に飲むと、翌朝の腸が活動を始める頃に便意を催します。作用が強いので頑固な便秘の人にお勧めしますが、習慣性があるため長期間の連用は避けましょう。このタイプの薬は腸で溶けて効くようにコーティングされている薬が多く、胃の中に食べ物が残っている食後に飲むと腸に届く前にコーティングがはがれて効き目が弱くなってしまうことがあります。パッケージに書いてある用法の時間通りに飲んでくださいね。また、痙攣性便秘の人が服用すると大腸への刺激が腸の痙攣を悪化させてしまい、お腹は痛いのに便は出ないという状態になる可能性があります。痙攣性便秘かな?と思われる人は便を軟らかくする塩類下剤が適していますが、効かない場合は精神安定剤等でストレスを取り除いた方が良い場合もありますので医師の診断を受けてください。
刺激性下剤(ピコスルファートナトリウム)
ピコスルファートナトリウムも大腸を刺激して運動を促進させる薬ですが、効き目が穏やかで効き過ぎてもお腹が痛くなりにくい薬です。習慣性も少なく、癖になりにくいと言われています。大腸に存在する細菌によって分解された後に効果を現わしますので 食後に飲んでも効果が弱まることはありません。やや強めの便秘で、便秘薬を初めて飲む人にお勧めします。
浣腸(グリセリン)
浣腸は硬い便が直腸につまっていて、便意があるのになかなか出ない場合や残便感のある場合に便利です。
肛門から注入するとグリセリンが肛門や直腸を刺激して排便を促します。速効性があるので急な便秘の時や排便時間をコントロールしたい時にも使えます。薬液を肛門から注入し、注入後最低でも便意が強まるまで(3~10分)我慢してから排便します。赤ちゃんからお年寄りまで使える安全な薬ですが、常用すると“慣れ”が生じてしまいますので、常用は避けてください。
坐薬
肛門内に挿入すると体温で坐薬中の薬効成分が溶け出して大腸を刺激します。なかには下剤成分を含有せず、溶ける際に炭酸ガスを発生し、そのガスが直腸を刺激するものもあります。いずれも挿入後3~30分後に排便を促すのですぐに出したい時に便利です。便意を感じてすぐにトイレに行くと坐薬だけが出てしまうことがありますので、便意が強まるまでしばらく我慢してください。
坐薬の挿入が難しい場合は表面に水やベビーオイルを塗るか、清潔な指で先端部分を触って少しだけ溶かすとスベリが良くなって楽に挿入できます。すぐに出したいが浣腸には抵抗があるという人に人気があるようですが、こちらも“慣れ”が生じないよう常用は避けてください。
赤ちゃんの便秘に
離乳食のスタートによって母乳やミルクの量が減り、水分量が不足することで便秘になる赤ちゃんがいます。離乳食スタート前でも、飲む量が減ったり運動量が少ないと便秘になることがあります。 赤ちゃんの便秘が心配なお母さんは麦芽糖を試してみてはいかがでしょうか?麦芽糖は大腸内で発酵し、発酵成分が腸の動きを活発にするとともに便を軟らかくしてくれます。麦芽糖は砂糖と違って虫歯の原因菌が好まない糖ですので虫歯になる心配も少なく安心です。 甘みのある成分ですが、少し癖があるのでそのままで飲んでくれない赤ちゃんにはお湯や麦茶で薄めて飲ませてあげると良いでしょう。
お腹の張りに
腸内のガスは誰でも発生するものですが、便秘の時は腸内で異常発酵が起きてガスがより発生しやすくなります。発生したガスは停滞している便によって出口を塞がれお腹に溜まってしまいます。ガスが溜まっているのに排出できないと、お腹が張りコポコポと鳴ったり腹痛が起きることもあります。こんな時は溜まったガス溜まりを分解してくれる薬が良いでしょう。ガスを排出させる薬は大きなガス溜まりをつぶして排出しやすくする薬です。